Facebookでフランス国旗をプロフィールに表示する行為への違和感
はじめに
個人的には歴史的背景も踏まえてもっと長く書いても良いのですが,可読性を優先し掻い摘んで話します.この記事によって,より真に世界情勢に関心を持つ人が増え,より深く物事を考えられる人が増えることを期待します.
さて本題です
Facebookのプロフィール写真にフランス国旗を半透過させることができるようになりました.私自信もFacebookをしておりますので,多くの人がトリコロールカラーをまとったプロフィール写真に変更したのを確認しております.
しかし個人的に,この行為に対する大きな違和感がどうしても拭えません.これは大きくわけて以下の2つの理由によるのではないかと思います.
- フランスだけが被害を受けているわけではない
- 哀悼や激励のつもりが逆効果になり得る
「何もしないよりいいだろ!」「批判するぐらいなら行動したほうがいい!」という意見をお持ちの方はぜひ 2 を一読ください.
フランスだけが被害を受けているわけではない
これは散々言われていることですが,フランスだけが今回初めて自爆テロの被害を受けたわけではありません.イスラム国,およびそれに賛同する第三勢力などは今までにも多くの国で猛威を奮っています.ナイジェリアの学校では,自爆テロによって将来を有望視された多くの学生が殺されました.トルコでは平和集会中に自爆テロの攻撃を受け多くの人が亡くなりました.イラクでは今も血を流しながら戦いが続けられています.フランス一国だけの問題ではないんですよね.なのに欧州に戦火がたどり着いてしまった時だけ仲間アピール,哀悼ムードをするのでしょうか.今までは何も考えてこなかったのでしょうか.
哀悼や激励のつもりが逆効果になり得る
ISISやその他支持組織はそもそもどうしてこれほどまで過激な行動をするようになってしまったのでしょうか.私はあくまで中立的な立場で述べますが,彼らの行動の源泉は,今までの半強制的な欧米諸国の啓蒙に対する反発であるわけです.そのために手段や対象を選ばずテロリズムを起こしているわけです.
前述したナイジェリアの学校での自爆テロは,"欧州の教育を受けようとした学生" がターゲットにされたわけです.フランス頑張れフランス頑張れという姿勢をとる行為は,無用な被害者を減らすものとして正しい行動なのでしょうか.
また,9.11の事件以降も「テロリズムに屈しない」という精神の元で戦ってきた結果生まれてしまったのがISISでもあるわけです.こちらが大きく対抗心を燃やせば燃やすほど,大きく非難すれば非難するほど,彼らは彼らが起こした聖戦(ジハード)が成功したことを確信するわけです.これ以上彼らを挑発し聖戦を正当化させる行為は果たして正しい行動なのでしょうか.
おわりに
私は,他のEU国は数か国行ったことがあるのですが,残念ながらまだフランスには行ったことがありません.しかしフランスは私の好きな国の1つです.おいしいワインがあるし,芸術にも理解があるし,ラグビーも強いし(?),とてもいい国だと思っています.決して私はフランスに対するネガティブなキャンペーンを行いたいわけではありません.
また,人はそれぞれの考えを持っていてよいと思います.上記のことも踏まえた上でトリコロールカラーのプロフィールに賛同する方も大いに結構です.もしこれが自然災害等に苛まれた国に対しての行為であったりしたならば私も大賛成です.
しかし実情は,数クリックでできてしまう行為が故に,多くの人があまり深く考えず善意を盲信して行動しているのではないでしょうか.少なくとも哀悼を示す行為は悪い行動なわけではないですしね.世界情勢に関心あるアピールにもなりますし,流行ってるから,やっておこうみたいな軽い考えの人もいるのではないでしょうか.
今回はとても複雑な事情が絡んでいます.時として善意が他者を苦しめることに繋がる可能性もあります.その善意から導かれる行動が本当に善行となって現れているのかについて,よく考えてみる必要があるのではないでしょうか.