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昨日の自分から今日を学ぶために

【ラグビー】日本vs.南ア ラスト10分の何がアツかったのかをざっくり解説

 ラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカに勝利しました

とてもすごいことなのですが,何がすごかったのか,この試合がどうしてそこまで多くの人々を熱狂させたのかがよくわからない人も多いと思うので,この場を借りてさく~っと解説します.ちょっと主観的かもしれませんがアツさを伝えるためお許し下さい.

ルールや戦略を知った上で見なおしてみると,新たな発見があるかもしれませんよ.2015年ラグビーワールドカップを応援しましょう!また,2019年には,ラグビーワールドカップは日本で開催されます.

※ちなみに筆者自身は高校生の頃にフランカーとしてラグビーをプレーしていました

南アフリカって強いの?

強いです.

<最強> ニュージーランド
<とても強い> オーストラリア,南アフリカ
<強い> the UK な国々,元 the UK な国々

とおぼえておけば大丈夫です.ちなみに以下が日本代表の過去のワールドカップでの戦績です.

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ラグビー日本代表 - Wikipedia

 一応説明しておくと,黒丸●は敗北を意味しています...

南アフリカは過去5回出場し,そのうち2回優勝という恐ろしい国です.そんな国を今回打ち破りました.

ラグビーのルール

基本

15人 vs. 15人で戦う

前にいる力自慢の大きな人達をフォワード,後ろにいる走りやパスが得意な人達をバックスと呼びます

前半40分 後半40分

重要なポイントは,前後半ともに,"40分を過ぎた後にプレーが途切れたら"終わる,ということです.プレーが途切れるというのは,ボールが外に出たり,トライが生じたりした時と思ってください.今回,前後半とも数分過ぎてもプレーが続いていましたね.

点の取り方

  • トライ(5点): 相手側の最後のラインを超えるまでボールを運び,置く
  • コンバージョンゴール(2点): トライ後にキックをする権利を得る.そのボールを上手く飛ばしてなんか長い棒の上の間を通す
  • ペナルティゴール(3点): 相手がペナルティをした後は,色々選択して行動できる.そこでショットを選択して,上記同様ゴールを決める
  • ドロップゴール(3点): いつでもよいので,ワンバウンドさせてボールを蹴り,ゴールを決める

主なペナルティ

  • 前に投げる(もちろん落とすことも)
  • 相手の横とか後ろから防御する
  • ボールを持ってる人以外と衝突をおこして相手の邪魔をする
  • タックルしたりされたりして倒れてから相手の邪魔をする

何がアツかったのか

本題です.どのシーンも非常に興奮するゲームで,すべてのシーンについて書きたいところですが,特に会場を沸かせたラスト約10分の戦いで,何が起きていたのかを時系列順に少し解説します.

68:10 五郎丸歩のトライにより,日本,同点に持ち込む

五郎丸歩さんのトライ+コンバージョンキックにより,29-29と同点に並びました.このトライとキックは南アのメンバー全体を動揺させ,その後のプレーを消極的にさせます.

72:00 南ア,相手ペナルティに対しショットを選択

日本のペナルティにより,南アには優位な行動をする権利が与えられます.ここで南アはフォワードを利用してトライを取りに行くこともできたのですが,ショットを選択し,ペナルティゴールを狙いにいくという選択をしました.体格差だけを考えれば南アの方が圧倒的に勝っているので,フォワードを利用して5点のトライを取ることを狙うのかと多くの人々が思ったわけですが,安全に3点のペナルティゴールを狙うという選択をしました.

戦略としては悪くないのですが,この行動がこの試合の勝敗の決定打になってしまったのかなと思います.南アは,時間をかけてじっくり押し込み,トライを取らなければいけなかった.私はそう思います.

この時に南アに対してブーイングが起こり,その後,会場全体も日本を応援し始めます.試合は完全に日本の流れになります.

78:40 南ア18番退場

南アフリカの18番,Coenie Oosthuizen が反則により退場させられます.これはトライ目前での重要なシーンで,寝たまま相手の攻撃の大きな邪魔をしてしまったからでしょう(まあ正直人が乗ってしまって動けなくて仕方なかったようにも見えますが).

これにより南アは14人でプレーをしなければならないという非常に不利な状況に追い込まれます.

78:51 日本,相手ペナルティに対しラインアウトを選択

18番のペナルティに対し,日本はここでショットを選択して同点を狙うこともできました.しかし,ここで彼らはフォワードを用いて力で正面から戦うことを選択します.その後に生じたモール(みんなで固まって押す)には,バックスも応援し,全員でトライへ向かって進みます.南アフリカもバックスが駆けつけて応戦しますが,じりじりと押されます.このシーン,まさに "All for one" が現れていて,この試合で一番アツかったと私は思います.

しかし残念ながらボールがどこにあるのか確かめられなかったため,トライになったのかどうか判定できずやり直しになってしまいます.

79:50 日本,スクラムで勇戦

以降は全て日本はスクラムを選択します.相手が一人少なくなっているので人数上では確かに有利だったのですが,スクラムは日本が長年苦手としてきた課題であり,安定さが足りませんでした.事実前半では何度も押されています.反則をしてはいけないこの最後の場面で選択し続けるのには相当勇気が必要だったわけです.

まさに 72:00 で南アがしなければいけなかった行為を日本が仕返したわけです.この勇敢な姿を,多くのラグビーファンが涙を流しながら応援したわけです.

日本の勝因

確実に相手を止めるタックル

体格差があるため,基本的に押し合いの勝負になると日本は不利です.なので,力で押し止めてボールを奪おうとするようなタックルではなく,1人目が足をしっかりとホールドし,2人目が相手を倒しきるようにしています.キャプテンのリーチ・マイケルを筆頭に,前半の 36:00 等にもその姿がよく現れています.確実に相手を止めることで,相手の進行を抑えているわけです.これは元フランカーとしてプレーしていた自分にとって,本当に見てて気持ち良いです.

五郎丸歩の的確なキック

日本代表15番フルバック五郎丸歩という選手がいますが,彼のキックは本当に正確でゴールのチャンスを逃しません.「反則をしてしまうと相手にペナルティゴールを与えてしまう」という不安が南アの選手の積極性を大きく奪っていました.精神的なプレッシャーが大きい中,毎回しっかりと決めるところで決めていたのは,本当にあっぱれです.

攻撃の展開速度とそのバリエーション

フォワードのサポートの速度が非常に早くて良いです.それによって攻撃の展開がとても速く,バリエーションにも富んでいます.フォワードのピック&ゴー(ボールを拾ってすぐに自分で進む)など,少しのスキも逃さず上手く場面に応じた攻撃をすることができていたのが印象的でした.

最後に

ラグビーは激しくて繊細なスポーツです!見てるだけでも選手たちの熱が伝わってきて,非常に興奮します.成長続ける日本代表をぜひとも応援しましょう!

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